家づくり、何から始めればいい?
家づくりを始めたとき、このご家族には二つの大きな悩みがありました。
ひとつは、何から手をつければいいのか分からないこと。
もうひとつは、住みたいエリアに土地が見つからないこと。
土地情報を見ても、希望に合うものはなかなか出てこない。
かといって、どこまで条件を変えていいのかも分からない。
「もっと広い範囲で探した方がいい?」
「予算を上げないと無理?」
「そもそも、自分たちはどれくらいの家を建てられる?」
家づくりを始めたばかりなのに、考えなければならないことばかりが増えていきました。
でも、BASEが最初に提案したのは、土地探しを急ぐことではありませんでした。
一度、土地探しをする前の段階まで戻ること。
結果的に、この「急いで決めなかったこと」が、家づくりを大きく変えることになります。

現在のダイニングで過ごすご夫婦。土地探しから始まった家づくりは、暮らし全体を考えるところから動き出しました。
土地を探す前に、「家づくり全体の予算」をつくる
土地探しから家づくりを始めると、どうしても「条件のいい土地を見つけること」が目的になりがちです。
でも、土地は家づくりの一部分にすぎません。
土地を買ったあとには、建物があり、外構があり、照明やカーテンがあり、家具や家電があります。
たとえば、土地に想定以上のお金を使えば、建物で調整する。
建物に予算をかけすぎれば、本当は置きたかった家具を諦める。
一つひとつを別々に考えていると、最後になって、
「家は建ったけれど、本当にやりたかったことにお金を残せなかった」
ということも起こります。
そこでBASEでは、住宅会社を決めることより先に、ご家族の資金計画を整理しました。
「いくら借りられるか」ではなく、「何に、いくら使うか」
考えたのは、単純な住宅ローンの上限ではありません。
土地、建物、庭、家具、照明、インテリア。
そして、家を建てたあとに続いていく家族の暮らし。
それらを一つの予算として捉え、どこにお金をかければ、このご家族の満足度が高くなるのかを整理していきました。
同時に、「欲しいもの」を並べるだけではなく、
なぜそれが欲しいのか。
新しい家でどんな時間を過ごしたいのか。
絶対に譲りたくないものは何なのか。
要望を一つずつ言葉にしていきます。
ここが、今回の家づくりの大きな分岐点でした。

「広い土地が必要」は、本当に必要な条件だった?
整理していく中で、ひとつの前提が変わりました。
それが、必要だと思っていた土地の広さです。
家づくりでは「○坪くらいの土地が欲しい」と、広さそのものを条件にしてしまうことがあります。
でも本当に必要なのは、「○坪」という数字でしょうか。
大切なのは、その土地の上で自分たちが望む暮らしを実現できるかどうかです。
建てたい家の大きさや配置、必要な空間、予算とのバランスまで考えていくと、ご家族にもある気づきが生まれました。
「思っていたより、大きな土地じゃなくてもいいんだ。」
土地の条件を妥協したわけではありません。
むしろ逆です。
「広い土地」という曖昧な希望から、
「自分たちの暮らしに本当に必要な土地」へ条件を具体化したのです。
必要な坪数と、土地に使える金額が明確になったことで、土地探しそのものを組み直すことができました。
売地がない。それなら「売りに出ていない土地」まで探す
しかし、もう一つ問題が残っていました。
希望するエリアは、そもそも土地の流通が少なかったのです。
ポータルサイトを毎日見ても、新しい土地が出てこない。
ここでエリアを広げることも、一つの選択肢です。
けれど、家族にとってその場所に住むことが大切なのであれば、「売りに出ていない=土地がない」とは限りません。
BASEでは希望エリアにある空き家を洗い出し、所有者への交渉を進めました。
そして、市場には出ていなかった土地の所有者から、売却の了承を得ることができたのです。

こうして見つかった土地に完成した住まい。条件を先に整理したからこそ、「この土地で叶えられる」と判断することができました。
土地探しというと、「出ている物件の中から一番いいものを選ぶ」と考えがちです。
でも、ここにも家づくりの大切なポイントがあります。
選択肢がないとき、諦める前に「探し方」を変えられないか。
条件を明確にしていたからこそ、次の一手を打つことができました。
100万円以上抑えても、「好き」を削らなかった
土地が決まったあとも、最初につくった予算の考え方が基準になりました。
住宅会社から出てくる提案をそのまま採用するのではなく、
「これは本当に必要?」
「ここにお金を使うことで、暮らしはどう変わる?」
「逆に、削っても満足度が変わらないものは?」
一つひとつを確認していきます。
その結果、当初提示されていた計画から100万円以上のコストを抑えることができました。
重要なのは、100万円安くなったことだけではありません。
浮いた予算があったからこそ、諦めかけていたキッチンの仕様や、家具にもこだわることができました。

空間の印象を決めるキッチン。予算を「削る」のではなく、かけたい場所へ配分することで実現しました。

ソファやTVボード、照明、グリーンまで揃って、初めて「暮らしの空間」が完成します。
家づくりの予算調整というと、「何を諦めるか」を決める作業のように感じるかもしれません。
けれど、本来考えたいのは、
「限られた予算を、どこに使えば自分たちの満足度が一番高くなるか」
ということです。
この違いは、完成した家にも表れています。
木のルーバー天井と間接照明。
存在感のあるキッチン。
家族が自然と集まるダイニング。
ゆったりとくつろげるソファ。

家・照明・家具を別々に考えず、一つの空間として整えたLDK。
どれか一つだけが主役なのではなく、全体がつながって一つの暮らしになっています。
BASEがつくったのは、家ではなく「判断できる状態」
この家を見ていると、「素敵なキッチン」「広いLDK」「家具がおしゃれ」と、完成したものに目が向きます。
でも、この住まいができるまでを振り返ると、もっと大切なことが見えてきます。
BASEが家を建てたわけではありません。
家を建てる前に、ご家族が正しい順番で判断できる状態をつくったこと。
資金計画をする。
家づくり全体の予算配分を考える。
叶えたい暮らしを言語化する。
必要な土地の条件を整理する。
土地がなければ、探し方まで変える。
住宅会社から提案が出れば、全体の予算と照らしてもう一度考える。
住宅会社、不動産、インテリアなど、それぞれをバラバラに考えるのではなく、家づくり全体を横断して整理する。
それが、BASEがこのご家族の家づくりに入った意味でした。
ご家族からも、
「事前に準備をしていなかったら、気づかないまま進めていたと思う」
という言葉がありました。
知らなければ、疑問に思うことすらできません。
そして家づくりでは、一度土地を買ったり、住宅会社と契約したりすると、後から変えるのが難しいこともあります。
だからこそ、まだ何も決まっていない時間には、大きな価値があります。
何も決まっていない今だから、できることがある
土地が見つからない。
住宅会社が決められない。
予算が合っているのか分からない。
SNSを見れば見るほど、やりたいことが増えていく。
そんなとき、急いで「正解」を選ぶ必要はありません。
先に整理したいのは、
「自分たちは、どんな暮らしをしたいのか」
「そのために、何にいくら使うのか」
「何を基準に選ぶのか」
ということ。

家づくりのゴールは、家が完成する日ではなく、そこで始まる毎日の暮らし。
このご家族も、最初から答えを持っていたわけではありません。
「何から始めればいいか分からない」から始まり、ひとつずつ整理した先に、今の暮らしがあります。
BASEでは、土地や住宅会社を紹介する前に、家族のこれからの暮らし、資金計画、土地、建物、庭、照明、家具まで、家づくり全体を一緒に整理するところからお手伝いしています。
まだ土地がなくても。
住宅会社が決まっていなくても。
「いつか家を建てたい」くらいでも大丈夫です。
むしろ、何かを決めてしまう前だからこそ、一緒に考えられることがあります。
「自分たちの場合、何から始めればいい?」
その質問から、家づくりを始めてみてください。
